Quest of G

コーデックス植物(主にパキポディウム)の栽培記録や栽培方法、園芸ツールについて書いていきます。

A-0002_パキポディウム グラキリウスを丸く美しく育てるために心掛けたい事柄とは?私たち栽培する人のスタンスについて

孫子の言葉に ❝彼を知り己を知れば百戦殆からず❞

  問題を解決するためには、相手(問題)をよく調べ吟味し、自分の力量を理解したうえで対処すればうまくいくものだ…とあります。

前回の投稿では相手(グラキリウス)がどんな植物なのか大まかな部分に触れました。

 

前回の投稿(前編)は以下をご覧ください↓

graboratory.hatenablog.com

 

今回は後編として己(栽培する人)がどうあるべきかについて独断と偏見で書いていきます。

以前SNSにも投稿したことがあるのですが、私はグラキリウスの栽培方法はいくつもある、むしろ栽培する人の数だけあっていいと考えています。

それは例えば登山で山頂に至るルートがいくつもあるように、グラキリウスの栽培も正解(極み)に至るプロセスや手法は栽培する人それぞれが環境と共に作りあげていくべきだという考え方です。(昔は未踏の地図と表現しました。)

グラキリウスはパキポディウムの中でも栽培し易い植物で、ある程度日本の環境に耐えられるので、初心者でもセンスが良くて、購入した株が健康ならほぼ枯らすことなく育てられます。

栽培する者の心得のような仰々しいことを今さらブログに書く必要もないのかもしれませんが、それなのになぜわざわざ書いているかというと、枯らさずに育てることと美しく育てることには大きな違いがあるからです。

適当に育てても実生は決して現地球のようにはならないし、現地球は徒長してしまい美しさを何年もキープすることは困難です。

特に実生苗についてはここ数年で現地球が大量に輸入されている現状を踏まえると現地球を超える美しさを実現することには価値があると考えています。

本稿では自由度の高いグラキリウス栽培でもこれをやったら失敗するという事例や初心者が陥りやすい誤解についていくつか挙げ、美しく栽培する方法を浮き彫りにしていきたいと思います。

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2019年実生苗

まだ実生をはじめて3年程度ですが、一番の出来のロットです。


 

①グラキリウス(グラキリス)に対する大きな誤解

 

SNSなどでグラキリウスを"まん丸に太った"とか"でっぷり、どっしり"などの形容詞で表現されるのをよく見ます。確かにあの丸く重たそうな姿をみたら私たちは自分たち人間に置き換えて、よく肥えてるなぁ~などと思ってしまいがちです。しかし私はこういう表現がグラキリウス本来の姿を誤って認識させる要因ではないかと考えています。

よく"野生動物に肥満はいない"と言われますが、原産地のグラキリウスも然り。

グラキリウスが自生している土地マダガスカルの南西、イサロ国立公園付近(標高800~1,200m程度の山岳地帯であり、砂岩壁や山の頂上など)です。

肥沃な土地とはとても言えない土、しかも少しでもひょろっと伸びようものなら強風でぽっきり逝ってしまいそうな岸壁などにしがみついているわけです。

私には毎日の寒暖差、強風、紫外線、栄養も水分も乏しい土に耐えて小さくうずくまっている姿に見えます。

"でっぷりとまん丸に太ったグラキリウス""ギュッと小さく丸くうずくまっているグラキリウス"では同じ丸い姿をしていても中身はまるで真逆のものです。

私たちの栽培方法もこの二つの姿どちらをイメージしながら栽培するかでまるで違う方法を選ぶことになると思いませんか?

 

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がっしりと引き締まったボディ

 

 

②グラキリウス(グラキリス)栽培環境における大きな誤解

 

私は何度かグラキリウスを育てる上で何が大事かについて質問されたことがあります。

そんな時いつも答えに困ってしまい、日光と風と水などと当たり前の回答をしていました。

それはある意味正しく、質問に対する回答としては最適解のようにも思えます。

しかし、この回答には根本的なところに誤りがあります。

植物の栽培環境は日光+風+水という足し算で出来ているわけではないからです。

時には引き算も必要で、陽と陰のせめぎあっている真ん中が正解の環境なのです。

今同じように聞かれたら、1番大事なのはバランスだと答えるでしょう。

バランスとはどういうことかと言うと、分かり易く図で描いてみたいと思います。

 

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グラキリウスの栽培における環境の要素を分解して並べてみました。上側が成長要因、下側がマイナス要因です。この図の青線ようになるべく円を描くような環境で栽培した時、丸く育てることが出来ます。

しかも、円が大きい程成長が早く、円が小さい程成長が遅い、そして1番小さい黄線の円が休眠・停止のギリギリラインです。

これがバランスという考え方です。

図にするのは簡単ですが、その要素の項目の選定、要素ごとの数値や塩梅の見極めが至難の業であり、それこそがノウハウなのですが、意識するだけでも栽培の仕方が大きく変わるはずです。

この考えでいけばあまり陽当たりの良い環境を持ち合わせていなくてもバランスが円になるよう注意をすれば、徒長させずに栽培することも出来るはずです。ただし最適な環境に比べて成長が遅くなるというわけです。

ここで一番重要なことはマイナス要因=成長阻害要因に意識を向けるということです。

成長要因の数値が高いときは成長阻害要因の数値も高くなくてはなりません。

例えば日光が強いとき、阻害要因の紫外線も強いというような具合です。

常にバランスを念頭において栽培すれば、突飛な行動にもストップがかかり失敗も減ると思うので実践的な考え方だと自負しています。

 よく徒長させてしまうという人は成長要因盛り盛りの足し算環境で栽培しているのではないかと思います。成長阻害要因に意識を向けると改善できると思いますよ。

このバランスについては追々詳細を書いていきます。

 

③温室で栽培する場合の注意点

 

皆さんはグラキリウスを栽培する時に温室は必要だと思いますか?

やはりどうしたって温室は憧れですが、私は温室を持っていません。もちろん購入資金と場所がないというのが最大の理由ですが、以前簡易温室にコーデックスを入れて屋外で管理した際、ほぼ全滅させてしまったことがあり、その温室を処分したという経緯があり簡単な温室すら持っていない状況です。

 

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簡易温室内で高温にさらされて多くの枝が壊死したグラキリウス

当時、この個体以外のグラキリウス他塊根植物は全滅しました。

けなげに毎年花は咲かせてくれますが、全く結実しません。

 

そんな私の今の栽培方法をご紹介すると、だいたい春先10℃〜20℃の桜が散りだす季節に屋外に出して、梅雨〜真夏は雨ざらし、11月の半ば(日中17℃・夜間7℃くらい)になったら室内に取り込みなるべく窓ぎわで管理、完全に落葉したら日当たりの悪い場所と交換(置き場がないので)という感じでやっています。

※窓際管理も家族の反対で難しくなってきました。

お世辞にも最適な環境とは言えないと思いますが、この栽培方法の方がパキポディウム系はうまくいっている印象です。

また、私は数年前、まだこんなにグラキリウスが簡単に手に入るようになるよりも前、よく近くのサボテン園に足を運んでいました。そこの園主はコーデックス類を西向きの温室に詰め込んで、送風も行わず、ただひたすら加温し続けていました。そんな園主が口癖のように言っていたのが、「パキポディウム(特に原産地球)は日本ではうまく育てられない。仮にうまくいっても3年で枯れてしまう。」というものでした。以前は3年で枯れるという話はよく言われていて、私もよく諭されたものです。やめとけ、金の無駄だと。

 

この私とサボテン園主の例は何がいけなかったのでしょうか。

温室が悪いわけではありません。温室で作り出した環境が植物に合わなかったのです。

どちらも空気の循環がなく、高温対策が不十分であることは容易に分かると思います。

 もし、温室を建てる、もしくはビニル(ガラス)温室での栽培を検討されている方は屋外で栽培するよりも難しい環境作りを求められることを覚悟したほうがいいと思います。

何しろ自然の中には普通に存在する必要な要素を0から人工的に作り上げていかなくてはならないわけですから、そこにはととんでもない労力とコストがかかってきます。

私みたいな無精者には向かない方法だと思いますし、前述の方法でもバランスに意識を向ければ十分丸く育てることができると私は考えています。

昨今、巷で販売されている実生のグラキリウスの中には残念ながら形が崩れてしまっているものも見かけます。

グラキリス(や他の植物)をなるべく沢山(歩留り良く)早く大きく育てるというのは利益を追求しなくてはならないプロの世界ではセオリーですし、重要なことであることは言うまでもありません。

しかしそれは残念ながら生産性と品質を天秤にかけて多少品質を犠牲にした妥協の産物なのかもしれません。

もし自分で0から栽培するなら、自分の環境に見合ったスピードで成長させるようにすればグラキリウスもきっと応えてくれると思います。

大丈夫、グラキリウスと何十年も付き合っていく覚悟があれば、最初の10年くらい全然成長しなかろうが何にも問題はありません。(と自分に言いきかせてます。)

輸入球も輸入時の形が100点なのですから現状維持を目指すべきだと思います。

 

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実は輸入球を現状維持するのも難しい。

何とか頑張って徒長しないように心掛けても、枝先は太くなってしまう。

 

さて第二稿も終了ですが、またも長々と書いてしまい申し訳なく、最後まで読んで頂いた方には感謝しております。

今回の稿で少し書いたように構成要素を分解してその構造を一つ一つ見ていくことでより一層グラキリウスのことが分かってくる予感がします。

次回はグラキリウスの構造に焦点を当てて考えていきたいと思います。

お付き合い頂きまして、ありがとうございました。

 

A-0001_パキポディウム グラキリウス(グラキリス)ってどんな植物? グラキリウスの基本情報と覚えておきたいポイント

孫子の言葉に ❝彼を知り己を知れば百戦殆からず❞

  問題を解決するためには、相手(問題)をよく調べ吟味し、自分の力量を理解したうえで対処すればうまくいくものだ…とあります。

今回は前編として、まずは相手(グラキリウス)のことを知っていきたいと思います。

グラキリウスの基本情報と栽培のコツにつながるポイントを記載して、最後に個人的に気に入った栽培本をご紹介しようと思います。

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なかなかいい形に育った実生苗(2019.夏 播種、2年目苗)

 

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現地球に負けないくらい丸く育った実生苗(2019.夏 播種、2年目苗)

  

  [目次]

グラキリスの基本情報

②覚えておきたいポイント

③おすすめの栽培本について 

 

 グラキリスの基本情報

【学名】

 Pachypodium rosulatum ssp. gracilius

 パキポディウム グラキリウス(グラキリスとかグラシリウスなどともいう)

和名は象牙

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我が家のグラキリウス紹介(幹が丸く、肌の色は茶色がかった特別なグラキリウス) 

 

【科・属・亜属】

Apocynaceae Pachypodium Chrysopodium

キョウチクトウ科 パキポディウム属 クリソポディウム亜属

【自生地】

Madagascar / Isalo

マダガスカル南西部 / イサロ地方

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マダガスカルの気温】

 

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 イサロ地方の気温を探してみましたが、なかなかいいものが見つけられなかったので、

アンタナナリボ(中央、高地)の気温情報を参考にしてみます。

以下の旅行サイトから引用させて頂きました。

 マダガスカルの気候と天気 | 地球の歩き方

 ※イサロ地方の気温情報ではないため参考にしてはいけないのでしょうが、イサロ国立公園あたりと標高も近そうですしあながち的外れなデータでもないかもしれません。

 

【花の種類・性・花のタイプ・色】

Angiospermae / Hermaphrodite / perfect flowers /  yellow flowers /

被子植物 / 雌雄両全株 / 両性花 / 黄花 /

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花弁の数は5枚が基本ですが、4~6枚(それ以上)なんてこともあります。 

 

※私は学者や専門家ではないので表記の仕方が正しいかは分かりません。

 深く知りたいと思ったら他の記事や専門書を読んで確認頂けるとありがたいです。

 

②覚えておきたいポイント

上記基本情報から派生する栽培のヒントとなるポイントを以下に列挙しておきます。

 

⑴グラキリウス(gracilius)の語源がラテン語のgracilis(細い)+folium(葉)からきた言葉で細い葉を意味する。つまりグラキリウスの重要なを特徴として"細い葉を持つ"ことが上げらる点(実生のグラキリスを栽培するとその理由が顕著にわかります。)

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 グラキリウスとグラキリウスを交配した純血の苗の葉は針のように細い形をしています。

当方の栽培環境では今のところ例外はありません。

 

⑵グラキリウスはマダガスカルの南西、イサロ国立公園付近(標高800~1,200m程度の山岳地帯であり、砂岩壁や山の頂上など)に自生しており、比較的標高の高い(おそらく強風が吹きつけるであろう、冷涼な)地域に自生している点

 

アンタナナリボの気候も参考にして考えてみると…

1⃣生育期である雨季は月に20日近くも雨が降っている点…日本の梅雨を雨季と考えれば梅雨の長雨でも雨ざらしでも大丈夫かもしれない。

2⃣1年を通して1日の寒暖差が10℃前後もある点…生育期は外で管理し夜水遣りをして気化熱で寒暖差を作る。休眠期は室内に取り込み、陽当りの良い場所に置くか育成ライトをあててほぼ無加温か日中だけ加温する程度に管理すれば良さそう。

3⃣平均最低気温の最低値がほぼ10℃である点…管理上10℃以上で栽培したほうが良さそう。

4⃣乾季の雨量はほぼ0に近い数値である点…休眠期は断水でOKか。

5⃣1年を通して最高気温が30℃前後あり、最低気温が10℃を下回ることが多い点…日本の場合、夏は最高気温が40℃まであがり、冬は最低気温が氷点下にもなるが、四季の移ろいごとに気温が徐々に変化する。代わって、マダガスカルの場合、1日の寒暖差が激しいが年間の気温差は日本程の激しい変化は無い、雨季と乾季がはっきり分かれている。自生地は過酷な環境と言われているが、実は日本の環境も過酷です。というか過酷さに違いがあるようです。こういうことを背景にすると、日本で栽培するには完全な屋外管理は不可能で、1日の中で寒暖差を作る工夫をすることが大事であることが分かってきます。

 

⑶グラキリウスはクリソポディウム属に分類されており、このクリソポディウム亜属内の交雑が多いという点(デンシフロルムと恵比寿笑いをかけた恵比寿大黒が有名)

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タッキー(P.Tackyi)×グラキリウス(P.gracilius)の交配種

インスタグラムでフォローさせていただいている方から頂いた種を播いて育てた苗。グラキリウスより丸くムチムチしていて魅力的です。

勝手にPachypodium cv. 'Gra-tank'(グラタン)と名付けて可愛がっています。

学名っぽいですがあだ名です。(誤解を生むから本当はダメかも…)

Outbreedもキチンと何と何を掛け合わせたかが分かれば、原種を超える魅力をもつ種となりうるかもしれません。(Tackyiみたいに…)

 

 ※オークションや老舗のサボテン園などでもグラキリスという名前でハイブリッド種の実生苗が販売されているのをよく見ますが、ここがサボテン界の悪いところで、騙された人が悪い。見極められない素人が悪いという感覚がまだ残っているフシがあります。管理ができないのであれば交雑は避けるべきでしょう。 

 

⑷両性花を咲かせる雌雄両全株であるため、自家受粉も可能である点

 ※もちろん近親交配を続けると生存率や繁殖力が低下する近交弱勢現象の問題やそもそも自家受粉し辛く、結実しても正常な種子にならない自家不和合性の問題もある為、あまりお勧めはしません。

 

③おすすめの栽培本について

さて、ここまでの説明でグラキリウスがどのような環境で生きているのか、どのような特性を持った植物なのか、おぼろげながら分かってきたと思いますが、説明が分かりづらいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。

そんな時は参考書を読んでみることも大事です。

私も数冊栽培本を購入していろいろと内容を比較して参考にしています。

手元にすぐに開ける参考書があると迷ったときになにかと心強いものです。

今市場にはかなり沢山の栽培指南書や多肉本が販売されています。

ここでは特に私が面白いと感じたものをご紹介してみようと思います。どれを買ったらいいか悩んでしまうという方は参考にしてみてください。

 

多肉植物&コーデックスGuide Book 栽培管理・品種ガイド

 

 正直、この1冊を読めばあとは何もいらないかも…と思える1冊!

 

⑵ビザールプランツ 灌木系塊根植物からアガベ、ビカクシダまで、夏型チンキ植物最新情報

 

 グラキリスよりパキプスの発根管理手法があまりに攻めた内容で衝撃的な1冊!

こういうリスクのある内容も記載している本は価値があると思います。 

 

⑶これでうまくいく!よく育つ多肉植物多肉植物BOOK 最新の栽培カレンダーと詳しいふやし方がわかる500種類を紹介!

 

 

 コーデックスだけでなく多肉植物全体が分かりやすいスタンダードな1冊!

 

以上、次回は❝彼を知り己を知れば百戦殆からず❞の後編、❝己を知る❞(栽培する私たちのスタンスとは)について書いていきます。

 

最後までお読み頂き誠にありがとうございました。

 

ブログ開設のご挨拶

多肉植物や観葉植物を始めて8年目になりました。

多肉植物の栽培』は飽きっぽい私でも続けられた稀有な趣味で、その中でも特にパキポディウム グラキリス(グラキリウス)との衝撃的な出会いは、人生を変えたと言っても過言ではありません。

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マイファーストグラキリス(2014年03月26日撮影)

今市場は自生地の山木で溢れており、形の良い小株から一人では植え替えられないくらいの立派な大株まで、どれも高い確率で発根する新鮮な株が巷の園芸店で販売されるようになってきましたが、私が初めてグラキリスを購入した2013~2014頃はパキポディウムの未発根株に手を出すことはハイリスクだと言われていて、多くの挑戦者が涙を飲む結果となったブーム黎明期でした。

私もご多分に洩れず挑戦し華々しく散った口で、上の写真の初めて購入したグラキリスも2株とも形はよかったのですが、届いたときはスカスカで1年もしないうちに発根することなく枯れてしまいました。葉もしっかり出ていたので、今の知識量で挑めば救えた命だったかもしれないという思いもありますが、新鮮さは今手に出来る株と比べれば天地ほどの差がありました。

そんなほろ苦いデビューをしてこれまでに数々の失敗をしてきた私にとって、今は好機とばかりに入荷情報があれば誰も持っていないようないい個体を探し求めてアンテナを張り巡らせる日々ですが、それと同時に入手困難、絶滅危惧種とされていたグラキリスや他の多肉植物(特にコーデックス植物)がこんなにも市場に溢れている様を見ると、「輸入規制目前とか、山採りのせいで自生地から植物が消えるとまことしやかに言われていた話はどこへ行ってしまったんだ。もうグラキリスなんて雑草と変わらんな…。いやいや、もしかしたらマダガスカルはもう破滅への一途を辿っているのかも…。」などと根も葉もない噂話をもとに訳の分からない気持ちがよぎってしまうのも正直な気持ちです。

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2020年(今年)のはじめから随時購入したグラキリス(まだ未発根もあり(汗))

競争のようにただひたすら植物をコレクションする行為に食傷気味になっている今の自分の気持ちを立て直すべく、今まで試行錯誤してきた実生グラキリスを中心に植物の栽培記録や栽培方法などを綴ってみたいと思います。

特に実生株の栽培方法は自生地の植物より形の良いものを作出することを目的に行っていて、著名な園芸家が入門書で言っている栽培方法とは違う(間違った)方法を選択しているかもしれません。

また、株の生存率も悪くあまりお勧めできるようなものではありませんが、もし私と同じように「100個の種を播いて5年後1個の苗しか生き残らなかったとしても、それが山木を超えるものであれば成功だ!」と思える人がいれば参考になるかもしれません。備忘録でもあるので、「お前に言われた通りにやったのに枯れたじゃないか!」などとクレームはつけないでくださいね。(一応最初に断っておきます(笑))

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2018実生グラキリス(とげの目が詰まった優秀な個体)

間違いだらけの理論である意味衝撃的(笑劇的)かもしれませんが(笑)、失敗も含めて投稿していくので、よろしければ読んでみてください。

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